コーチから電車とバスを乗り継いで無事途中の目的地であるメトゥパラヤム行きバスに乗り換えることができた。後は到着後に宿を見つけるだけなのだが、メトゥパラヤム行きのバスの中は夜も遅いにも関わらず典型的なインドの音楽ガンガンで安定のカオス状態だった。
音楽ガンガンのまま予定通り10時にメトゥパラヤムのバススタンドに着いた。結構デカいバススタンドでインド人旅行客が沢山いた。けど路面はガタガタで野良犬や野良人間なども沢山いて、鼻を刺すような臭いがバススタンド一面から漂ってきた。 何だか異様な雰囲気と言うか危険な雰囲気すらした。
なぜこんな何にも無いようなところに来たかと言うと、世界遺産にもなっているニルギリ鉄道に乗るためだった。
ニルギリ鉄道とはメトゥパラヤムとウッティの間の約46kmを結ぶ、インドで稼働している最後の蒸気機関車鉄道。1899年からこの鉄道は走っていて、昔は英国人の避暑地や行楽の手段として使われてたが、今では世界遺産になりインド人にも人気になっているらしい。
全線を通しで走る列車は一日に一本しか運行されていない。しかもたった46kmなのに高低差が約2000mもあるため蒸気による運行などもあり約3時間半かかるとの事。しかし鉄道から見る景色はかなりの絶景らしい。
こんな滅多に出来ない経験の為なら、どんなに汚かろうが、どんなに危なそうな街でも全然泊まる。
って事で早速宿探し。鉄道が出ているMettupalayam駅に宿泊できる宿があると聞いたのでバススタンドから行ってみた。
バススタンドから駅まではおよそ徒歩10分の距離。ただ広い道をひたすら歩くのだが、街灯の明かりが少なく野良犬、野良牛、野良人間がちょいちょい居るのでかなり不気味だった。犬は吠えてくるし人間はジロジロ見てくるし、牛は何だろ…
あっ、
めちゃデカい音で排泄していた。ほんとこいつ等のせいでこの10分間が死ぬほど長く感じた。
やっとのことで、駅に着いたが街灯の明かりのみで宿をやってる気配がまるでなかった。駅の端から端まで結構距離があるのだが、宿か駅のスタッフをくまなく探してみることにした。途中、駅の中で野良人間を見つけたので、宿はどこか聞いてみたが知ってる様子では全くなかったので一緒に探させた。
すると一緒に探してくれている野良人間が新しい野良人間を見つけていた。
と思ったら、それはスタッフだった。一仕事終えてくれた彼は駅の中にある飲料水がでる水道の所までゆっくりと戻って行った。
そして駅員の宿に今晩泊まりたいと伝えると、もう遅いから無理だと結構マジなトーンで言われた。これはめんどくさいからとかじゃ無く、ほんとにルールがあるっぽい感じだった。
街の方に何件かホステルがあると教えてくれたので、また歩いてバス停近くにある街の方まで行く羽目になった。本気で二度と通りたくないと思ってた道をまさか数分後にまた通る事になるとは。インド怖っ!
何とか無事におすすめされた宿に着くも、すでに閉まっていて電気すら点いていない。中をドア越しから除くも真っ暗なレセプションとソファーが薄っすら見えるだけだった。それでもダメもとで玄関のドアをガタガタ叩いてみた。半分は腹いせに。
すると中から黒い影が動いたのが見えた。人だ。人がソファーから起き上がってきた。
そしてすごい眠そうな、と言うか寝ながらドアを開けてくれた。なんか申し訳ない。
と思ったのは数秒で、速攻宿泊の交渉を始めた。
一泊はインドでよくある24時間制で値段500ルピーとの事だった。しかもドミトリーはいっぱいで個室しかこの時は空いて無かった。
とりあえず様子見で一泊だけ予約してみることに。部屋は余計なものがなくシンプルで綺麗に清掃がされていた。そんな個室が500ルピーと普通に安かったのだが、ダメもとで値引き交渉してみるとあっさり400ルピーになった。 もう言ったもん勝ち!
普通に清潔だし寝る分には問題ないレベル。ぐっすり寝れそうだ。急ぐこともないので明日はこの街を散策したりニルギリ鉄道について調べる時間に費やすことにした。
メトゥパラヤムを散策してみた
朝から外は人やバイク、車のクラクションで賑やかだ。近くのローカル食堂で朝食を済ませ、市場らしき通りを散策してみた。
やはりここでも大量のスパイスやカラフルな揚げ物のお菓子が売られてた。

奥の方に入って行くにつれて、おじさん達に声を掛けられる回数が増えていく。どこから来た?とかインドはどうだ?これを食べてみろ。などインドお決まりの質問攻めにあう。
けど、みんな優しいし興味を持ってもらえるだけでも有難い。
今回おじさんから試してみろと貰ったのは噛みタバコ。名前はパーンと言うらしい。葉っぱの上にビンロウと言う植物の種を乗せて噛んでは吐き出してを繰り返して口の中の清涼感を楽しむらしい。何ともオーガニックなタバコだ。あんまり体に悪そうに見えないが、発がん性物質はかなり含まれているとのこと。


おじさんが手慣れた手付きで巻いてくれた。そしてくれぐれも飲み込まないようにと念を押された。どうやら飲み込むとかなり胃が荒れるらしい。
そして一人のオヤジからかなり適当なパーンの嚙み方の説明とジェスチャーを受け、その後周りにいたオヤジの仲間たちからは飲み会のコールの様な煽りで半ば強制的に食べさせられた。集団になるとすぐ調子に乗るインド人、怖い。
初パーンの感想は、一言で言うとクソ不味かった。めちゃくちゃ苦いし、噛めば噛むほど唾液が出てきて噛みにくくなるしで直ぐに吐き出した。しかも吐き出した唾液はまるで吐血したかのように真っ赤で、もちろん口の中も一日中真っ赤なままだった。
その一部始終を見ていたインド人のオヤジ集団はずっと笑っていた。


ちょっと散策しただけだったがとても刺激的な街で、小さい街だけに人はとてもフレンドリーで楽しい時間が過ごせた。
ウッティへの行く様子は後半へ続く。